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40歳のおっさんです。 デジカメ、ラジコン、車、子育てなど


by ossan2009
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BMW320d ディーゼルの問題点・エンジン内部に煤が溜まる

BMW320d  ディーゼルの問題点・エンジン内部に煤が溜まる_a0114062_16294312.jpg
グリルのシャッターが開いているところ。
停車中だがエンジンファンが回っていてエンジンを冷やしている。


 ところでディーゼルエンジンの問題点て皆さんは知ってますか?
 ディーラーでは一言もこの件、ユーザーには伝えない事も多いんじゃないかな?

 少なくとも、私が購入したディーラーではディーゼルのメリットで有る燃費の良さと低速トルクの力強さばかりが強調されて、デメリットである煤の堆積リスクに関しては一言も説明してくれませんでしたねw

 ディーゼルエンジンってエンジン内部に煤が溜まるリスクが高いのですよ。
 特にエンジン吸気側のインテークマニホールド、EGRクーラー、EGRバルブ、さらに排気側のDPFに軽油が燃焼した時に発生する煤が堆積するんですな。

 煤がそれらに付着・堆積する事によって燃費の悪化、エンジンレスポンスの低下が生じ、最悪の場合はエンジンチェックランプが点灯し、動かなくなる。

 この問題って走り方によってはリスクを減らせるし、BMWのディーゼルのユーザーで10万キロ走って何も問題無いって方も大勢いらっしゃるのも確か。

 しかし、ちょい乗り連発で走行スピードが低い都会のユーザーがエンジン内部に煤が溜まってエンジンチェックランプが点灯した方も大勢いらっしゃるのですな。

 街中で普通に走ってる3Lディーゼルエンジン積んだ商用トラックが定期的にインマニ、EGRの清掃とDPFの洗浄を定期的に実施しているという事実から、これらのトラブルはディーゼルエンジンの宿命であって、これらのリカバリー費用発生をリスクと考えるか、必要経費と考えるかしなくてはならないと思います。


■ ディーゼルエンジンの煤堆積問題

・PM(煤)の発生と対処

 ディーゼルエンジンはシリンダー内の燃焼室でピストンで圧縮された空気にインジェクターと呼ばれる霧吹きみたいなもので軽油を吹き付け、空気と一緒に軽油が燃えた際に生じる気体の膨張力でピストンを押し下げ、動力を得ているわけです。

 この軽油が空気と混ざって燃える際に生じるのが煤(PM)で、基本的には軽油の燃え残りで、燃焼室が高温を維持されている限りは発生しにくい性質をもっております。

 燃焼室内で発生した煤は排気側のマフラー手前にあるDPFと呼ばれる装置で濾し取られ外部に逃がさない様に蓄積されます。

 溜まった煤は「DPF再生」と呼ばれるDPFに軽油を吹きかけ600度以上の高温に晒す事により燃えて無くなってしまいます。

・NOx(二酸化窒素)の発生と対処

 ディーゼルエンジンにはPM(煤)の発生問題以外にもリスクが有ります。
 それがNOx(二酸化窒素)と呼ばれる有害な排気。これは世界的に規制されており、日本でも自動車NOx・PM法」として煤と同様、排気に含まれる量が法律で規制されております。

 二酸化窒素って何?
って感じですが、人間がそのまま吸気しただけでも気管支疾患や喘息の原因となるし、水に吸収されると硝酸になって濃度次第では所謂「劇薬」となってしまうわけですな。
 特性上、強い酸性を示すので酸性雨の原因になるとも言われております。

 こう言った理由からディーゼルエンジンの排気に関して、PM(煤)とNOxは数量が日本のみならず、世界的に規制されており、その規制値は年々厳しくなる傾向にあります。

 現状、日本では大都市近辺で登録されている車輌に限定されてはおりますが、PMとNOxの規制値を超えた車輌はその使用を制限されております。

 煤(PM)だけじゃなくって、軽油が燃焼する際に生じる二酸化窒素(NOx)も規制の対象なんですな・・・

 NOxが発生する原因が燃焼室内で軽油が燃える際の高温で空気に含まれる窒素が酸素と結合して生じて発生します。

 軽油はガソリンに比べて発熱量が高く、さらにディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて圧縮比を高くして熱効率を高め、その結果、ガソリンエンジンと比べて高燃費と高トルクを実現しております。

 早い話、燃焼温度が高いわけで、その分、NOx発生のリスクがガソリンエンジンに比して高くなるという問題を抱えています。

 対策としてはディーゼルエンジンの圧縮率を下げて燃焼室内温度を下げることが有るわけですが、ディーゼルエンジンって点火プラグが無くて、軽油の特徴で有る発火温度の低さを利用してピストンによる空気の圧縮によって生じる熱だけで燃やしてエンジン動かしてるわけで、圧縮比を下げると燃焼室内の空気の温度が上がらず、軽油を吹いても発火しない。 
 そもそもエンジンが動かないという問題にぶつかるわけです。
 
 通常のディーゼルエンジンの圧縮比は16-18、ガソリンエンジンのそれは10-11と1.6〜1.8倍の差があります。
 ディーゼルエンジンの低圧縮化は一部の自動車メーカーでも積極的に研究がされており、マツダは圧縮比14のディーゼルエンジンを実用化して排気の低NOx化に成功しました。

 ただ、ディーゼルエンジンの低圧縮化で燃焼温度を下げようとすると、PM(煤)が増えてきます。
PM(煤)って燃料が完全に燃えなかった際に生じる物で、其れを避けるには燃焼室を高温に維持すれば良いって話になるわけですよ。

 圧縮比は高めして、空気の温度を上げて軽油を吹いた方がPM発生のリスクは減る。
 PMとNOxを減らすには互いに相反する特性を克服する方法を見つけないとならんわけで、そのバランス取るのが難しい宿命なのですよ。

 マツダが低圧縮比14.0のディーゼルエンジンをスカイアクティブDとして大々的に宣伝し、7-8年前より発売開始して話題になりましたが、煤問題で大騒ぎになりマツダのディーゼル車のリセールバリューが大幅に低下しました。

 やはり、煤問題に関しては低圧縮化のリスクは高くて、マツダもその後は対策したとは聞いてますが、圧縮化16.5のBMW・ディーゼルに比べてもマツダの煤問題トラブルの発生比率は格段に高かったという印象です。

 最近もCX-60などに新開発の6気筒ディーゼルエンジンを搭載、ディーゼルエンジンの新車種を市場に投入しているマツダですが今後も要注目というか要注意?
です。

・ 煤は何処に溜まるのか?

 エンジン内部に溜まると言っても、エンジン内全てで発生するわけでは有りません。
煤が溜まりやすい問題箇所は以下の通り。

・ EGRクーラー内部
燃焼後の酸素が無くなった排気を一部シリンダーに戻して、見做し排気量を小さくして低負荷時のエンジン効率を上げる為の装置がEGR。 排気ガスの温度を下げて体積を少なくして吸気効率を高める為の装置。
排気が冷やされる事により、排気に含まれる気化したエンジンオイルが液体に戻り、煤と混ざって粘性を帯びEGR内部に付着すると考えられている。

・ EGRバルブ
EGRクーラーで冷やされた排気をシリンダー内に戻す量を調節する弁。
状況次第で大量に煤が付着し、動作不良になって燃費が悪化する。

・ インテークマニホールド(インマニ)
EGRクーラー → EGRバルブを通った排気及びエアフィルターを通ったが混ざってシリンダー内に導く空気の通路。 状況次第ではここに大量の煤が溜まってシリンダー内への空気の流入を阻害してエンジンレスポンスの低下、燃費の悪化を引き起こす。
BMW320d  ディーゼルの問題点・エンジン内部に煤が溜まる_a0114062_18060985.jpg
BMW320d  ディーゼルの問題点・エンジン内部に煤が溜まる_a0114062_18102973.jpg
画像はネットで拾った借り物です。



・ インジェクター
燃焼室内に燃料を吹き込むインジェクターに煤が付着して適切な燃料噴射を阻害する。
エンジンレスポンスの低下と燃費の悪化を引き起こす

・ DPF
排気ポートを通った燃焼ガスから煤を濾し取る装置。
細かい網が何重にも重なっていて流入した排気から煤を付着させる。
溜まった煤は「DPF再生」呼ばれる、燃料を多めに吹き、排気バルブの開閉タイミングを遅らせる工程でDPF内の温度を600度以上に上げて煤を焼き切る。
状況次第ではDPF再生の頻度が上がり、焼き切れなかった煤がDPFに溜まり続け排気効率を悪化させる。
エンジンレスポンスの悪化、燃費の悪化を引き起こす。

・ 煤取りのコスト

 ディーゼルエンジンの宿命であるPM(煤)とNOxの発生の件、取り急ぎユーザーが直ぐに問題になるのは煤の方。  
 NOx発生を抑える為にも燃焼温度は上げられないので今後も煤問題のメーカーにおける根本的な解決は難しく、DPFを用いて吸着させるしかない。
また、DPFは再生しても取り切れないケースが多々ある。
またEGRを使用している以上はEGR関連のパーツおよびEGRからシリンダー内部に通じる空気の経路に煤が溜まる。

これらに対処してエンジンの性能を出来るだけ元に戻すには以下のコストが掛かります。


・燃料添加剤の使用(インジェクターへのカーボン付着防止)

給油の際に半年毎もしくは5千キロ毎の洗浄剤投入。
BMWのウェブサイトではインジェクター及び吸排気の経路への煤の付着に有効と有ります。

@¥2500円/回 x 6回/年 : 15000円/年(税込)

✳︎BMWは給油の度にこれ入れてくれって言ってますが普通は無理だろw
取り敢えず、4回の給油(2ヶ月毎)で一回、入れてます。
しかし、インジェクターの交換費用は高い(BOSCHのOEM品でも8万円/気筒)

BMW320d  ディーゼルの問題点・エンジン内部に煤が溜まる_a0114062_19382568.jpg

追記: 純正の添加剤は高いのでネットで評判の良かったワコーズの「ディーゼル-1」 @\5250/Lを購入。
2022年12月より、@250cc/回を給油の度に実施することにしました。
@\1312/回、@\35000/年のコスト

更に7万5千キロ(5年間)で吸排気の洗浄で以下のコストが掛かる。

・EGRクーラーの超音波洗浄
・EGRバルブの交換
・インマニのクルミブラスター清掃
・DPFの薬剤洗浄(オイル交換含む)
費用合計: 約218,000(税込)

 5年間乗ったとして、年間約4万3600円のメンテナンスコストが掛かる。
個人的には年間30万円掛かっていた燃料費が年間18万円に圧縮出来そうなので、5年間で60万円の燃料コストが節約出来て、別途インジェクター保護の燃料添加剤のコストを差し引いても50万円以上が節約可能と試算しました。

 プラグ代や故障が多いイグニッションコイルの交換リスクが無い事を考えるとディーゼルはやっぱりお得なんですな。

 BMWのディーゼルは圧縮比がマツダやメルセデスより高くて低回転でのトルク重視という特性も相まって、大排気量NAのようなエンジンフィールが楽しめる。
 エンジンを5000回転以上回さない、普通に乗ってる分には最高のエンジンだと言える訳ですな。






by ossan2009 | 2022-10-31 08:18 |